「おもいで」
20才の時の手術は血管腫というもので、首のところにぷっくり盛り上がった腫瘍を取り除くもので、傷は小さかったけれど、それでも術後は寝たり起きたりするたびにものすごく痛かった。その記憶は古びた脳にもしっかりしがみついていて、動き出すのが恐怖だったけれど、想定以上の痛みはなくなんとか立ち上がれたし起き上がれた。
ふらつくこともなく、これからしっかり歩いていきましょうと言われる。やはりちょっと気恥ずかしくてしっかりしている自分を総動員してしまう。
歩く時に他の病室もちらと視界に入ったけどみなさんご高齢のようで老齢の痩せた顔が並んでいた。
みなさんやたら、自分のことを若いから、しっかりしているから、と言ってくれる理由が少しわかる。